エンジニアリング土壌がないエンジニアリングマネージャーの向き合う先(EMの多様性の一例)
本記事は、Engineering Manager Advent Calender2の11日目です(vol1もあります)。本日わたしの誕生日というのもあり、ここらで一つ自分なりにまとめてみようと思ってこのアドベントカレンダーに参加させていただくことにしました。
わたしの「軸」となる考え・思い
これは、今年の2月にScrum Fest Osakaで登壇させていただいた際、セッション内容を考えるためにいろいろ書き出していたときのメモです。
わたしがエンジニアリングマネージャー(?)をなんとかやれているのは、これが基本にあるからでこのためにどうしたら動いていけばいいのかというのを、ケース毎に毎回考え続けているから、なような気がしています。
わたしの場合、よく出会う「エンジニアリングマネージャー」と呼ばれる方々と土壌が異なります。それはScrum Fest Osakaのときにも少し語りましたが『技術面』に関してはほぼ土壌がないのです。
でも、エンジニアリングマネージャーに求められるものって、実はとても幅広いんじゃないかと思っています。そして、それが全部できる人というのはわたし自身今のところ見たことがありません。知ってる限りでは、かの有名な及川さんぐらいではないかなと思います。しいて言えば至極近いぐらいにすべてをカバーしているのは、わたしの今の上司ぐらいですが、その上司も別にエンジニア出身ではないのでコードレビューができるわけではないです。
エンジニアリングマネージャーに求められるものとは?
思いつく範囲で行くと、弊社にすべての職種(Job Category)がありました。
- Architect / Tech Lead
- Development Manager
- Service Manager
- Organizational Manager
- Strategist
これ以外にも品質面、セキュリティ面、コンプライアンス面といったところもあったんですが、そこまで広げると大きすぎるのでちょっと省きます。(ただその部分も目を光らせる必要はありますし、実は弊社の職種にもあります。)
上記どの部分に属していても、エンジニアリングマネージャーといえると思います。現に弊社ではそれぞれのJob Categoryできちんとエンジニアリングマネージャーをやっている人たちがいます。
となるとエンジニアリングマネージャーってどういう定義なんだろう、とわからなくなることもしばしば。なので、自分の「軸」というものをもち、どういう組織を作っていきたいのか、というところをベースに考えるしかないという結論に至ってます。
わたしの場合、Techありきではなく、人ありきで組織ができあがるという軸だし、その組織が作るプロダクトも人ありきなので、どうしても「Human Resource Management」だったり「Product Management」が中心で動くマネジメントになります。
Product Managementの先にあるもの
実は、Product Managementはあくまで「プロダクト」のマネジメントなので、プロダクト戦略のための状況分析や、プロダクトロードマップの作り方等、世の中にいろんなやり方の本や記事、手法が転がっていて、その手法を駆使する、掛け合わせる、そしてPDCAを回す、といったことをすれば何とかなるものなのですが。
結局それらを分析したり考えたりするのも「人」、そして作った「プロダクト」を使うのも「人」で、プロダクトマネジメントをするときはその「プロダクト」の先にいる「人」を考えなければいけないわけなのです。
つまり、どう転がっても「人」について考えなければならない。
エンジニアリングマネージャーの究極は、「人」についてどこまで向き合えるかなのではないかと思い始めている今日この頃です。
サーバントリーダーシップ
「人」について向き合い始めた数年前にこの言葉に出会い、サーバントという言葉に対する違和感を感じながらもいろいろやってきて、以下のプレゼンをさせてもらってさらに2年経って、ようやく実に「サーバント」だなと思うことが多いです。
この言葉に出会ったとき、本当に一つ一つはまだ手探りでしたし、おそらくそれほど「サーバント」ではなかった気がしています。このプレゼンをしたときもそこまで「サーバント」にはできていなかったかもしれません。
ただ2年経験してみて、「人」を軸にしたエンジニアリングマネジメントについては、
- 答えがない
- 方程式のようなルールや公式、王道もない
- 同じやり方が通用しないことがほとんど
なのです。なぜなら「人」に向き合っているから。
相対するメンバーひとりひとりと真摯に向き合い、時には言いたくないこともアドバイスと心を決めてアドバイスしたり、どんな些細なことでも見落とさず褒めてあげたり、責めるのではなく寄り添い二人三脚で歩んだり、と。人が十人十色なように、取る方法も十人十色なのです。
ちょうど今、昨年1年間じっくり担当したグループとはまた違うグループにじっくり入っています。元々見ていたんですが、見始めたころと状況がすっかり変わってしまったのです。取り巻く環境が変わるだけで、こんなにも組織って変わるのかというのを痛感。取り巻く環境が変わっていることの説明がおそらく足りていないし、そのせいでメンバーひとりひとりが何をしていけばよいのか、どの力をどう発揮すればよいのか、迷っているんだと思ってます。その迷いを取り除いてあげねばならない。
毎日毎日そのような向き合いをするのも、エンジニアリングマネージャーの仕事のひとつと思っています。
さ、明日からもお仕事がんばろう!